みなべ・田辺の梅システム 世界農業遺産認定
みなべ・田辺の梅システムとは
養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用して薪炭林を残しつつ梅林を配置し、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきた農業システムです。
人々は、里山の斜面を利用し、その周辺に、薪炭林を残すことで、水源涵養※や崩落防止等の機能を持たせ、薪炭林に住むニホンミツバチを利用した梅の受粉、長い梅栽培の中で培われた遺伝子資源、薪炭林のウバメガシを活用した製炭など、地域の資源を有効に活用して、梅を中心とした農業を行い、生活を支えてきました。また、人々のそうした活動は、生物多様性、独特の景観、農文化を育んできました。
※水源涵養とは、森林の土壌が、雨水を吸収して水源を保つとともに、河川へ流れ込む水の量を調整して洪水を防止する機能
南高梅
ニホンミツバチ
ウバメガシの森
世界農業遺産(GIAHS)とは
国際連合食糧農業機関(FAO、本部イタリア・ローマ)が、2002年に開始した仕組みで、次世代に受け継がれるべき重要な伝統的な農業(林業・水産業を含む)、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活用を図るものです。
これまで、世界22ヵ国62地域、日本では、「みなべ・田辺」を含め11地域が認定されています。
みなべ・田辺の梅システムの概要
国際連合食糧農業機関(FAO)が示す5つの認定基準
- 食糧及び生計の保障
- 暮らしを支える梅産業
(就労人口の約70%が梅生産・関連産業従事/生産、加工、観光等が連携、約700億円の梅産業) - 最高級炭「紀州備長炭を生み出す製炭業
- 水稲、野菜、柑橘など多様な農産物の生産
- 暮らしを支える梅産業
- 農業生物多様性
- 薪炭林、梅林、水辺環境により保持される生物多様性
- 梅とニホンミツバチの共生関係
- 農業の多様性
(梅栽培の多様性・梅との複合経営品目としての多様な農産物)
- 地域の伝統的な知識システム
- 梅の多様な遺伝子と優良品種育成
- 梅栽培の伝統技術
- 地域で発展した梅干加工技術
- 資源を持続的に利用する独自の薪炭林管理技術「択伐(たくばつ)」
- 文化、価値観及び社会組織
- 梅に関連した祭事・行事
- 梅の伝統的食文化
- 梅の育まれた地域の「絆」
- ランドスケープの特徴
- 季節により変化する梅林景観
- 薪炭林と梅林による急崚な地形の利用
(薪炭林の水源涵養、防災機能/梅林での草生栽培による表土の保護等) - 「択伐」による独特の薪炭林管理法
パンフレット
平成27年12月15日に「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定されました。
世界農業遺産(GIAHS)の認定を目指し、FAO(国連食糧農業機関)へ認定申請をしていた「みなべ・田辺の梅システム」が、平成27年12月15日(火)にFAO本部(ローマ)で開催された「GIAHS運営・科学合同委員会」において、世界農業遺産に認定されました。
農林水産省ホームページ 世界農業遺産(GIAHS)への新規認定について
小谷みなべ町長(みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会 会長)コメント
はじめに、みなべ・田辺地域の皆さん、仁坂知事を始めとする和歌山県関係者の皆さん、この認定までにご協力いただきました全ての人に感謝を申し上げたいと思います。
私は、この「みなべ・田辺の梅システム」の梅栽培、薪炭林の活用、炭づくり、ミツバチとの共生など、このシステムを作り、継続し、発展させてきた先人の方々のおかげで、まさに遺産と呼ぶべきものだと思います。この遺産が世界的に認められたこと、また南高梅誕生50周年を迎えたこの年に認定されたことは大変嬉しく思っております。
今後は、この遺産を後世にどう伝えていくか、認定をどう活かしていくかが大事だと思います。
みなべ・田辺地域としましても、ますます、生産者、加工業者、JA、行政が一体となって、地域振興や梅・炭の消費拡大・国内外への販路拡大など産業振興、また観光振興に一層取り組んで参りたいと考えています。
真砂田辺市長(みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会 副会長)コメント
先程、仁坂知事に世界農業遺産認定証が授与され、我々同席した関係者一同喜び合うとともに、このように関係の皆様にもご報告ができますこと、大変うれしく思っております。
また、認定に至るまでの間、多大なるご支援を頂きました国連大学、農林水産省、関係機関の皆様にもこの場をお借りして感謝申し上げます。
この認定は、人々の生活や文化と密接に関わってきたこの地域の農業が、様々な環境の変化にも適応し受け継がれてきたこと、そして資源循環と共生を大切にした農業システムが、生物多様性を保全する仕組みとして評価されたものと考えております。
世界に認められた「梅システム」を誇りに思うとともに、受け継いできたこの農業の価値を認識し、これを機会に梅をはじめとした農産物のブランド化や産業観光の振興など、この地域の活性化及び持続的な農業モデルの発展につながることを期待しております。
知事コメント
本日、「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定されたことを大変うれしく思います。
また、みなべ・田辺地域の皆様には、これまで地域を挙げて世界農業遺産認定に取り組まれ、そのご努力に敬意を表すとともに、心からお祝い申し上げます。
この地域の400年以上受け継がれてきた梅栽培を中心とした伝統的な農業の仕組みが、世界的にもすぐれたものであると認められ、県としても、世界に誇れるものがまた一つ増えたとたいへん喜んでおります。
この認定を契機に、和歌山県も、みなべ・田辺地域の皆さんと一緒になって、「梅システム」のすばらしさと「梅」という健康に有用な作物を世界に向けて発信し、梅の消費拡大や国内外からの観光客誘致など、地域の活性化につなげていきたいと考えています。
「みなべ・田辺の梅システム」世界農業遺産認定セレモニー
- 日時 平成27年12月15日(火)午後9時から
- 場所 みなべ町役場3階大会議室
- 内容
- 経過説明
- セレモニー
- 現地からのテレビ電話による認定報告
経過説明とセレモニー
GIAHS運営・科学合同委員会での様子
お問い合わせ先
- うめ課 みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会
- 電話:0739-74-3276 FAX:0739-72-3893